ELLE

 エルフの、そして蛭田昌人さん渾身のSF・AVG。
 それが1991年6月13日に発売された「ELLE」(エル)でありました。
 後の2000年に同じくエルフの手によりWINDOWS版として移植された方は「el」(エル)と短縮されましたが、このレビューはあくまでPC98版をプレイした上でのものになります。

 大豊作となった1991年PCアダルトゲーム界においてのエルフからの代表作品でありまして。
 企画・シナリオ・ゲームデザインを一手に担っていたのが当時の社長でもあった蛭田昌人さんでした。
 筆者は「同級生」で蛭田昌人作品に魅せられ信者となった人間なもので、エルフタイトルを片っ端から購入しまくったウチの一タイトルがこのソフトだったのですが。

 近未来の世界において、度重なる戦争・クーデターにより疲弊した地球は統一国家とそれに対抗するゲリラ集団とに分かれ更に争いを続けていた。
 ゲリラ集団「ブラックウィドウ」に対抗するべく作られた組織「スナイパー」に新人として所属することになった主人公。
 同僚となったエルらと共に頻発する殺人事件に対応し、ブラックウィドウの謎に迫っていくことになるのだが……
 というのがおおまかなあらすじになりまして。
 いわゆる蛭田主人公、おちゃらけた女好きでありながらも実は切れ者で次々と難題を片付けていきつつ、物語の核心に迫っていくというキャラ造詣でして、「ああ、蛭田作品だなあ」とプレイしていてヘンに安心した覚えがあります。

 発売にあたり大きく強調していたのがアイコンクリック方式を初めて取り入れた作品、と言うことで。
 それまでのコマンド選択方式から、ゲーム画面の部分部分をマウスでクリックすることによって物語が進行していくスタイルになっておりました。
 これは蛭田さんが「エッチシーンで直接画面をクリック出来たらユーザーが喜ぶのではないか」と思いつき、この方式で作り上げたそうなのですが……確かにそれまでなかったので新鮮さは十分でしたし、至る所をクリックしてもいちいち反応があり、ときに愉快な蛭田テキストが見られたのでそれなりに楽しかったのですが、ベッドシーンなどで面倒に感じる部分もなきにしもあらずでした。
 ただ新たな試みに挑戦しようという蛭田さんの姿勢には、「やはりトップクリエイターとはこう思うものなのか」と改めて感嘆させられたものでしたね。

 キャラデザ、原画はじゅじゅろーさんで、当時としては悪くない絵柄でした。
 しかし何と言ってもインパクトがあったのは惨殺シーンの数々で……まあエルフ初期〜中期の作品にはちょくちょく見られたのですが、今作ではやたら多かったように感じました。
 でも必要以上にグロく描いてあるのは、個人的には趣味には合わなかったですかね……

 そしてプレイした人にとって最大の衝撃だったのは間違いなくラストでしょう。
 蛭田さん得意の手法が発揮された、恐らく初めての作品だったわけですが……いやはや、これが賛否両論になるのも納得でした。
 個人的には「うわっ、マジかよ……」と驚愕させられましたが否定的な感情ではありませんでしたね、合わない人にはとことん合わないオチでしょうけども。
 ただ序盤から中盤にかけて、ヒロインとの恋愛も絡ませながら連続殺人の謎に迫っていく過程は大いに盛り上がりましたし、お遊び部分にクスリと笑わせてくれる蛭田節も心地よくハイレベルのテキストAVGだと思うのですが、もしかしたらそれは信者の贔屓目というものなのかも知れません。

 あとミョーに耳に残っているのはベッドシーンのBGMでして。
 筆者は音楽に関してはそんなに記憶の良くない人間で、プレイしてしばらくたったらほとんど忘れるのが常なのですが、このBGMだけはときどきパッと頭の中で流れてきたりするのが我ながら不思議であったり。

 ということで。
 まあ問題作とは言わないまでも、あのオチを許容出来ないプレイヤーも多数いたのは間違いないのでむやみにオススメ出来ないのが残念ですが。
 個人的には間違いなくプレイする価値があった作品でありました。
 筆者の評価はランクです。

テーマ : 美少女ゲーム - ジャンル : ゲーム

タグ : 蛭田昌人 ELLE

コメント

RE:エルフ全盛期の輝き

>カール大公さん

 やはり蛭田作品の中でも極めて真っ当なテキストAVGで、どんでん返しをはじめとする物語の盛り上がりや仕掛けに本当に魅せられましたね。
 まあ私も近年はコンシューマに片寄りまくってますが、業界自体がエロエロ・鬼畜系タイトルに傾いている印象を受けてる部分もあるのだよなあ。
 もちろん頑張ってるメーカーもたくさんあるのでしょうけどね。

エルフ全盛期の輝き

 ELLEはエルフ全盛期の輝きとも言える作品ですね。グラフィックの美しさ、アイコンを駆使した操作系、重厚なストーリー、そしてどんでん返しのどんでん返し、と楽しさ凄さがギュッとつまったゲームでした。終盤、突如ゲームの様相が変ってしまい「おいおいおい」と一人つぶやきながら、しかし引き込まれるようにプレイしたのを思い出しますね。あの頃私も若かった・・・(遠い目をする)

 あと、この頃創刊された「パソコンパラダイス」誌の巻頭がこのゲームだったはずで、そういう諸々を含め、色々と思い出深いですね。

RE:当時は自力でクリアしたはず

>KITTさん

 おお、どちらもプレイなさっておいででしたか。
 私はどうだったかなあ、そんなに難易度が高かった覚えはないので自力でやったのだったかなあ……

 あのオチは……私はまったく読めなかったですし身構えていなかったので、あんぐりでしたわ……でも「さすが蛭田さん、やってくれるぜ!」という感情も浮かんで来たあたり信者らしいと言えるのかも。

当時は自力でクリアしたはず

Windows移植版をプレイしたときは攻略情報に頼りまくってしまいましたが、PC98版は自力でクリアしたのを覚えています。今からは信じられませんが、当時はゲームに対する情熱というか執念みたいなものがあったのでしょうね。一番大変だったのは野球拳だったかしら。

ラストは確かに衝撃的ではありましたが、ゲーム開始時にこのゲームがどういうものか匂わせる表現があって、全く予測できないものでは無かったように思います。
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